熊本県小国町に「地域の交流拠点」をつくりたい!ふるさと熱電が挑む古民家再生事業
我が国における空き家数は2023年10月時点で900万戸。2018年(849戸)と比べ51万戸増加しており、過去最多となっています。※1
その主な要因として、人口減少、高齢化、都市部への人口集中などがあげられますが、ふるさと熱電が本社を置く熊本県小国町では、2024年12月時点で総人口は6,319人、世帯数は2,994戸となっており、30年前の1994年と比べ、総人口は3,681人、世帯数は67戸減少しています。※2
ふるさと熱電株式会社では、地熱発電事業を営む一方で、地熱発電から生まれる資源を活用しながら、地域内外の方々と一体となって内発的な地域活性化を目指す「地域創生部」という部署があります。
今回は、この地域創生部が取り組もうとしている、古民家再生による地域交流拠点の創出事業、「(仮称)咲いたプロジェクト」について紹介します。
――古民家”役場んまえ咲いた”とは?
“役場んまえ咲いた”は、小国町役場のすぐ目の前にたたずむ、木造2階建の古民家です。元々は八百屋さんから始まり、食事処の増設や、その後のデザイナーや建築家様による本格的なリフォームによって、40人以上が利用できる広々としたかつ趣のある居酒屋に生まれ変わりました。当時は、町内の歓送迎会や新年会など、さまざまな節目の集まりに幅広い世代がご利用されており、町内で一番賑わいのあった場所でした。
しかし、コロナウイルスの感染が拡大しはじめた2019年に居酒屋は閉店し、コロナ終息後も未活用のまま、かつての賑わいが嘘のように静まり返っていました。
――咲いたプロジェクトとは?
一般的に、地域づくりには「ヒト、モノ、カネ、拠点」などが必要と言われます。これからの地域創生の営みに必要な拠点づくりの一環として、この度2024年9月に小国町宮原地区の「役場んまえ咲いた」をふるさと熱電としてお借りし、「(仮称)咲いたプロジェクト」を始動いたしました。
プロジェクトの目的は、小国町内外の方々が集う交流拠点”をつくること。
約5年間未利用だったことから、電気・水道・床面・壁などのインフラ系を中心とした改修工事を行いました。これにより、1F部分を中心にトイレ、冷暖房、ネット環境、会議室などの整備が2024年12月に完了しました。
改修工事の設計には、わいた地区の岳の湯大地獄の設計にも携わっていただいた、たねもしかけも様、施工にはわいた地熱発電所の事務所整備などでもご対応いただいた、有限会社鳩野建設様にお世話になりました。もともとこだわりの家具や照明が並ぶ、アンティークさ抜群の建物であったため、建物の持つ歴史的な趣を活かしつつ、リノベーションを行っていただきました。
――なぜふるさと熱電が「咲いたプロジェクト」を?
ふるさと熱電は、小国町わいた地区にて、住民組織”合同会社わいた会”と共同で、わいた第1地熱発電所の運営を行っており、今年で9年目を迎えました。現在は同わいた地区で2基目となる、わいた第2地熱発電所を建設中です。
ふるさと熱電の社名にかけた想いは“ふるさとの熱を電気に、ふるさとの資源をお金に、地域を元気に“です。
わいた第1地熱発電所の稼働が9年目を迎え、加えて、わいた第2地熱発電所の建設に着手した今、
地元の「地熱」資源の活用による地域創生活動を小国郷全体に拡げていきたい、そして「地熱」以外の地元の大切な資源である「空き家」の有効活用も通じて、地域創生に貢献させていただきたい
という想いから、地域活性化の拠点づくりを目指した活動をスタートしました。
とはいえ、まだ最低限のインフラ整備が完了したところで、複合的な施設利用に向けてはまだまだ整備すべきことも多いので、直近では、まずは弊社としての会議室利用や、一時的なご来客対応やワークショップ施設として活用させていただき、試験的な運用を重ねながら、必要なハード・ソフトのインフラを整え、今後地域内外の方々にも広く活用していただけるよう準備を進めていきたいと考えています。
――今後の取り組みについて
今後は、社内や地域内外の方々との検討や交流を重ね、小国町の地域創生拠点としてのあるべき姿や活用方法を模索していきたいと考えています。
初回の社内アイデア出しでは、「地域内外の方に参加・利用いただけるワークショップ機能を整備したい」、「新たな産業や生業を生み出したい」、「カフェ機能を作りたい」、「SDGs教育機能を持たせたい」、「フィットネスジムが欲しい(笑)」など、様々な意見が挙がっております。
また、秋からの改修工事をご存じの小国町内の方からは既に、「アート・文化」や「関係人口の拡大」など複数のテーマで、当拠点の利用やコラボについてご提案いただき、前向き協議を進めさせて頂いております。
今後も、地域内外の多くの方々と連携しながら、魅力的で価値のあるプロジェクトの実現に向けて取り組んでまいります。
全国の市町村同様、小国町でも高齢化や人口減少が進んでおりますが、一方で故郷に今ある価値に目を向けると、「地熱」「古民家」のみならず沢山の”宝物”があると感じております。ふるさと熱電では、こうした地域内に既にある”宝物”である資源や人とじっくり向き合い、光を当て、経済と元気の循環を生み出すことで、地域創生の一翼を担えればと考えております。
※1:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果(令和6年4月30日)」を参照。
※2:熊本県小国町「小国町のデータ2020(令和2年度版)令和2年8月27日」を参照。