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Q.地熱発電は何がすぐれているの?

A.天候や時間帯に左右されず、安定的に電力を供給できる。

時間や天候に左右されない電力

自然界に常に存在するエネルギーを「再生可能エネルギー」と呼ぶ。地熱発電は、地球内部にある枯渇することのない熱源を利用したエネルギーのため、再生可能エネルギーに位置づけられる。

地熱発電の一番のメリットは、その安定性だ。代表的な再生可能エネルギーである太陽光発電は、太陽の沈む夜間や悪天候時には発電ができない。近年急速に導入の進む風力発電も、風の弱い日や強すぎる日には発電ができない。

一方、地熱発電は時間、季節、天候に左右されず、安定的に電力を供給することができる。地球内部の安定した熱源を利用した発電方法であるため、地表の気象条件の変化に左右されないのだ。

時間、季節、天候に左右されずに低コストで安定的に電力供給ができる電源は「ベースロード電源」と呼ばれる。日本の経済・社会を安定的に維持するためには、ベースロード電源の割合を高め、停電のリスクを減らすことが重要だ。経済産業省の定義によると、地熱発電は火力発電、原子力発電、流れ込み式水力発電と並んでベースロード電源に位置づけられており、その重要性が認められている。

地熱発電は24時間365日安定的に発電できるため、設備利用率が高いのも特徴だ。設備利用率とは、発電設備が一定期間中に発電した電力量が、仮に同期間中に100%の出力で発電し続けた場合に占める割合のこと。稼働状況を示す指標で、この数値が高いほど設備の有効利用ができていることになる。風力発電が約30%、水力発電が約60%、太陽光発電が約14%なのに対し、地熱発電は約83%と際立って高い。

地熱発電は稼働年数が長いこともあって、発電コストも低く抑えられる。政策経費を除いた発電コストは10.9円/kWhと、主要な再生可能エネルギーと比較して競争力のあるコストとなっている。

日本で自給可能な環境に優しいエネルギー

地熱発電は、高温・高圧の蒸気・熱水を利用してタービンを回し発電する過程でCO2(二酸化炭素)や汚染物質を一切排出しない環境に優しいエネルギーだ。

2011(平成23)年の福島第一原子力発電所の事故以来、多くの原発が稼働停止をしている日本のエネルギー自給率は10%強に留まる。中東やロシアなど政情が不安定な地域にエネルギーを依存する現状は、国家の安定や安全保障の観点で大きな課題である。

2015(平成27)年には、京都議定書以来の気候変動に関する国際的枠組みである「パリ協定」が締結された。パリ協定は、気候変動の影響を最小限に抑えるため、産業革命以前と比較した世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えることを目的とする。2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロとする「カーボンニュートラル」の実現を世界に確約した日本にとって、CO2を発生させない再生可能エネルギーの導入拡大は急務だ。

こうした社会情勢において、自国で豊富な資源を有し、CO2も排出しない地熱資源のポテンシャルは大きく注目されている。地熱発電は、日本のエネルギー安定供給やカーボンニュートラルの実現に向けて欠かせない技術なのである。

出所:「地熱革命が始まる」(プレジデント社)

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