日本のエネルギー自給率の動向と地熱発電の可能性
近年、エネルギー価格の高騰や国際情勢の不安定化により、「エネルギー自給率」や「純国産エネルギー」という言葉に注目が集まっています。日本は資源に乏しい国とされますが、実際にはどの程度自国でエネルギーをまかなえているのでしょうか?
エネルギー自給率とは?
国民生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で確保できる割合のことです。※1
日本は、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料が主なエネルギー源となっていますが、それらのほとんどは輸入しており、エネルギー消費の大部分を占めています。

‐出典:資源エネルギー庁ウェブサイト,エネルギー動向(2025年6月版)
そのため2023年度の日本のエネルギー自給率は、15.3%と低い水準のままです。※1
純国産エネルギーとは?
輸入に頼らず、国内で生み出すことができるエネルギー資源を指します。具体的には、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電など、「再生可能エネルギー」と分類されるもので、持続可能かつ環境負荷が少ない点が大きな特徴です。
地熱発電のしくみ
地熱発電とは、地下に存在する熱エネルギーを利用して電力を生み出す発電方式です。地中深くにある高温の熱資源に向けて生産井と呼ばれる井戸を掘削し、そこから地上に上がってくる蒸気によってタービンを回し、電気を作り出します。※1
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日本の地熱発電の可能性
2023年末時点において、日本は世界第3位の資源量を有していますが、世界の地熱発電設備容量に占める日本のシェアは2.8%で、世界第10位の規模となっております。※1
一方で、地熱発電の心臓部と言える地熱発電用タービン分野では、日本企業が世界をリードしています。
東芝エネルギーシステムズ(株)、富士電機(株)、三菱重工業(株))の3社は、地熱発電用タービンにおいて、全世界の約7割を占めており、その高い技術力は国際的にも高く評価されています。※2
日本はエネルギー資源の多くを海外に依存しており、エネルギー自給率は依然として低水準にとどまっています。再生可能エネルギーの導入が進む一方で、太陽光パネルや風力発電設備に使用される多くの部材や機器は海外製に頼っており、「純国産エネルギー」としての側面は限定的です。
その点、地熱発電は、資源の採取から発電設備の製造に至るまで、国内で完結できる可能性を持つ数少ないエネルギー源です。特に地熱発電用タービンにおいては、日本企業が世界市場の大半を占めるなど、技術面でも高い競争力を有しています。
持続可能なエネルギーを未来に築くためにも設備や技術を含めた「国産エネルギー」の活用に、今後関心が高まることが予想されます。
※1資源エネルギー庁ウェブサイト,エネルギー動向(2025年6月版)
※2 日本地熱協会「世界の地熱発電」より
